2月7日のブログにのっけた梅の木を今日見に行ったら、まだまだ満開で、夕陽に照らされとっても綺麗でした。
梅は、気温が低いときに咲くから長持ちするんですかねえ。
さて……。
「月とライカと吸血姫」の5巻をようやく読み終えました。
史実と史実からのズレの描写の錯綜がキラキラと輝いていて、やっぱり面白いなあ、この本は。
今日はネタバレありで、感想……というか、コメントかなあ、そんなものを……。
なんかラノベの1冊くらい数時間で読み切れよと言われそうだけどねえ。
でも、まあ、結構ツラいわけですよ。
歴史モノは全部そうだと思うのだけど、悲惨な結末がわかってるエピソードとかね、それに結構感情移入できるキャラとかが絡んでるとね、読むスピードも落ちますよ。
「月とライカと吸血姫」の5巻は、1967年4月24日の物語 でした。
つまり、ソユーズ1号ですよ。
ソ連の開発した月有人飛行用の宇宙船。
今の時代だと、ソユーズって枯れた技術と積み上げた実績で高い信頼性を誇る宇宙機だけど、1号機って人が死んでるんですよねえ。
他にも帰還中に空気漏れが起きて乗員3名が窒息死したというソユーズ11号もある。
ソユーズ11号は、子供の頃は長期の宇宙滞在で筋力の落ちた乗員がハッチをしっかり閉め切れなかったのが原因とか聞かされてたけど、今、Wikiを見ると違う原因が書かれてる。
いずれにしても、今では安心と信頼の代名詞みたいなソユーズの1号機がどうして失敗したのかというのは、この「月とライカと吸血姫」の5巻を読んでると、なんとなく実際にもこんなカンジだったのかと思って納得できるところもある。
ちなみに、ソユーズと同じく月往還用宇宙機のアポロも1号機で人が死んでる。
映画「ライトスタッフ」で、マーキュリー7の1人でありながら不運、というか、不遇の宇宙飛行士として描かれているガス・グリソムさんは、ここで死んでしまうわけだけど。
本当に不遇で切なくなる。
……が、「月とライカと吸血姫」では、このアポロ1号の事故での人死にが、アメリカ側の主人公のバートくんのお兄さんのアーロン(現実世界での宇宙飛行士、アラン・シェパード氏だと思われる)の介入で回避されている。
一方で、ネタバレになるけど、とある有名なアメリカの事故は、現実には死人が出なかったのだけど、小説では宇宙飛行士に犠牲が出てることになってる。
5巻のあとがきに、現実と小説世界での起きたこと、起きなかったことの対照表が載っていて……まあ、それはそれでスゴいなあと思ったけど、あと、もうちょっと精密な対照表だったら萌えたのだけど、ちょっと簡素すぎるが、あとがきだからしょうがないけど……結構恣意的だなあとは思った。
史実が改変される時に一定の法則性があったりしたらスゴかったのだけど。
まあ、そこまで求めるものではないか。
ということで、ソユーズ1号の事故は、回避される可能性もあったわけだけど、話のあの流れだともうハナから死亡フラグが立ちまくってるので、ムリだろうなあと思いながら、K、ミハイルくん結構好きで、レフくんとの掛け合いも良いし、相方のローザもすっかり可愛くなってしまってるから、その日が近づくともう読むのツラかったよ。
ソユーズ1号の事故に至る経緯、経過がどこまで史実に則ってるのかわかりませんが、説得力と迫力があった。
K、結構、失敗学が好きで、事故とかの本もいろいろ読んでるんだけど、そういう視点からも違和感ないし。
あと、ミハイルは、やはり超人的だった。
超人的だったけど、ここは史実の中に呑み込まれたなあ。
死体の描写もエグくて……まあ、そういうのが良いのだと思いますが。
にしても、史実と史実からのズレの描写の錯綜が、やっぱり面白いなあ、この話は。
ミハイルがソユーズ1号の事故で死んだ後、レフとイリナが、おそらくMiG-15UTIと思われる複座の飛行機で夜間飛行するシーンがあります。
あれも、史実だと、その飛行機でレフが死んでいるので、そう思って読むとじ~んと涙ぐむ。
レフは生き延びたのだ。
話は、この後、一挙にファンタジーの世界に入る。
もう現実とは明らかに違う世界。
ちょっと残念なのは、リュドミラの目的が今回明らかになるけれど、ロシアがウクライナに侵攻している今日この頃だと、このリュドミラの目的って、なんか少し賞味期限が切れた気がします。
まあ、仕方ないか。
……あ、1点、Kが気がつかなかった歴史改変。
フルシチョフの追放が実現されてなかった。
そういえば、そうだね。
もしかして、リュドミラさんって異世界からの転生者とか?