今日は、朝から自動車整備工場へ。
黒子さん(アルト HA25S)の
例の店長さんから紹介された工場なのですが、街外れに向かって、周りは山と田んぼだけという峠道っぽいところまで進み、田んぼの真ん中の十字路?というような狭い道を曲がって国道を逸れて、田んぼのあぜ道に辛うじてアスファルト舗装がしてあるだけといったカンジの黒子さん1台がギリギリ通れる幅の道を進み、鳥居の前の道を登って……ええと……本当にこの先に自動車整備工場なんかあるんですか……? とホンキで思い始めた頃に細い道を登った崖のトコロにたくさんの車が駐まってるのが見えて。
え? ホントにこんなトコロに自動車整備工場が?! というカンジでした。
というか、ありましたよ。
整備工場が。
グラインダーとかの音がうるさく響く敷地はかなり広く、解体されたフェンダーとか塗装中で乾燥中らしい部品とかが並べてあって、工場の中には整備中の車も何台もあって。
白髪のお祖父さんぽい人が社長らしく、ここだと作業の音がうるさいからと、手前の駐車場……というか、少し広くなっていろんな車が動きそうなのも動かなさそうなのも乱雑に駐められてる高台の広場に黒子さんと移動する。
このお祖父さんというか、おっさんが、店長さんオススメの人らしい。
かなりきっちりした仕事をして、信頼が置けるとのこと。
まあ、温和なカンジがするこの人は、話してるとかなりしっかりしてて。
黒子さんの例の色が違ってる運転席側のドアとかは、光の加減で変わって見えるのだけど、人に説明してわかってもらえないこともあったのに、このおっさんは、日陰に入って光があたってないのに「ああ、ここ違いますね」と一目でわかってたカンジで。
確かに安心できる……かな。
黒子さんを一通り見ながら、こちらの希望を伝える。
細かい補修を追いかけるのはタイヘンだから、やっぱり全塗装でと言われた。
あと、屋根のルーフモールも腐ってるから交換と言われた。
あ、そうか、工場だから、塗装だけでなく、純正部品が手に入るんだよね、とその時になって今更のことに気がつく。
だったら、エンブレムとかはどうだろうか?
「事故で保険がでるなら交換するけど、お金がかかるから再利用」
……はい。
あと、ドアバイザーも奥でボディが腐食してて、外して塗装して戻すのもタイヘンだろうから、もうこのまま撤去で、とお願いする。
ガタガタしてボディが擦れて塗装が剥がれて腐食が進んだカンジ。
「両面テープで貼ってるんだけど、それも剥がれちゃってるからそうなるんだよねえ」
ふ~ん。
あと、助手席側のボディの底面の傷みも。
「これは、ジャッキアップポイントでないところにジャッキ当てたんだねえ」
なるほど、前のオーナーさんのミスか。
「曲がってるの直して、あとは、全部一緒に塗装するから」
ありがとうございます。
ここまではいいのだが……。
「ドアハンドルも塗装しちゃっていい? 外すの面倒なんですよ」
あ、はい、まあ……。
「サイドミラーも塗っちゃうよ」
あ、あの、そういうところの樹脂の塗装って剥がれたりしませんか?
「剥がれないよお。事故ったら別だけど。ははは……」
ははは……。
「だけど、フロントグリルの無塗装部分は塗らないよ? ここ塗るのめんどくさくて、すぐ剥がれてくるんで」
ここは剥がれるの? というか、そこは塗らないのね。というか、塗らなくていいけど。
だんだん若干不安にはなる。
でも、まあ、聞いてると合理的な話ばかりなので、納得はできる。
あと、ヘッドライトのレンズについて、ピカピカになったらここも磨いてもらおうと思ってると言ったら、おっさんの方で磨いてくれることになった。
いや、もちろん、その分お金取られると思うけど。
あと、気になるデッドニング作業済みの部分の関係の質問。
ドアトリムとボディの間に貼ってる防音テープやクリップダンパーが邪魔かと聞いたら……。
「内側は塗りません……塗らなくていいですよね?」
もちろん、結構です。
あと、温度はどうなりますか?
「熱くなるね。だいたい70度くらい」
そんなもの? 100度とか200度とかは?
「ならない、ならない」
……ということで、どうやらアウターパネルに貼った制振材や制振吸音材は大丈夫そうだ。
ほっ……。
ということで、しばし黒子さんを預ける。
作業は、1ヶ月くらいとのこと。
黒子さん、しばらくお別れだけど、キレイになって帰って来いよ~。
……で、代車なんだけど。
黒子さんを前に打ち合わせした広場に駐めてあった銀色のワゴンRを代車に出したいらしいのだけど、おっさんが持ってきた鍵でドアが開かない。
事務所まで戻ったおっさんが別の鍵を持ってきてドアを開けようとしたけど、やはり、ワゴンRのドアは開かず、その代わり、おっさんの背中で、銀色のライトバンがウェルカム・ウィンクする。
「これでいいですか?」
とライトバンの方を指さされるが、このデカいの乗って、無事にあの細い道を帰れる気がしない。
ので、丁寧にお断りして、ワゴンRにしてくれと頼む。
おっさん、もう一度事務所まで戻って鍵を探してくれる。
ちょっと申し訳なかったなあ……。
ということで、代車で来たのが、黒子さんと同じスズキのワゴンR、4代目のMH23S。
色は、クールシルバーメタリックというヤツらしい。
車検証をみると、初年度登録は平成23年。
黒子さんの2歳年上。
でも、走行距離は、16万キロ超で、ずっと納屋で埋もれてた(とKは思ってる)黒子さんの去年の春に出会ったときの走行距離の20倍ですよ。
だいぶ、おばあちゃ……いや、経験豊かなお姉さんです。
あと、多分、レンタカーだったんだと思う。
搭載されてたカーナビに「返却場所」というボタンがあって。
そう思って見ると、給油口は左とかステッカーが貼ってあるし、ダッシュボードの上によくレンターカーなんかでテプラで貼ってある注意書きが剥がされた跡があるし……。
そう思うと、いろいろとこのワゴンR姐さんに感じるモノがある。
特定のオーナーに所有されたことがなく、ここまで走り続けてきた。
よく見ると、装備もしっかりしてる。
カーナビもETCなんかも付いてて、どっちもきちんと動く。
若かったときはピカピカのレベル高いお嬢さまだったのだろう。
そこそこの
ご指名もあまたの。
どんな車でも車を運転すると、その車と一心同体というか、車の運転って、その車と自分が繋がる行為じゃないですか。
車の感じる路面の振動を自分も感じて、同じ速さで走って、こちらの総裁に相手が応じて、同じ時間と場所を共有する、非言語のコミュニケーション。
ちょっと下品な言い方すると、エッチに近い感じがする。
言語を介さない、身体でのコミュニケーションだからねえ。
だから、運転が好きなんですが。
ということで、ワゴンR姐さんは、銀子さんと命名。
銀子姐さん。
シートもハンドルもボロボロ。
きっといろんな人に座られて、いろんな人の手に握られてきたからこんなふうにボロボロ。
特定のオーナーに所有されてきわたけじゃないからねえ。ここにこの銀子姐さんの人生がある。
タバコとホコリと芳香剤の混じった臭いも、車内の汚れも、まあ、長く人生揉まれてきたら汚れるし臭いもするのだ。
サスが死にかけてて、速度出して段差を乗り越えると死にそうになるけど、それも歳を取れば当然なのだ。
搭載されてたカーナビのオーディオはその時代のモノだから、CDとAM/FMラジオくらいしかないけれど、グラフィックイコライザーが付いてた。
これはラッキー。
オーディオ的には、ちゃんとしたパワーのアンプがあれば、あとはグライコさえあれば出力部分(スピーカー等)の特性なんてどうとでもなるというのが極論です。
工場からおうちに戻った後、昔、ビートに乗ってたときに使ってたCDのキャリーケースを引っ張り出してきて、適当にCDを詰め込み、銀子姐さんともう一度ドライブへ。
音が不安定で、特に、電源入れ立ては音があんまり安定しないのだけど、しばらく、というか、1時間近く走ってると、とても良い音色になってくる。
特に、低音が重く余韻を持って響く。
これは、黒子さんよりも音がいいかも。
あと、低音の響きと音色の余韻は紅羽さん(S660)より良いかもしれない。
ということで、しばらく銀子姐さんと楽しくお付き合いしたい。