この日になると思い出します。
Kは、男兄弟の家族構成で、なので本来、Kの実家はひな祭りとは無縁の家庭のハズでした。
でも、母の人が、家には女の子がいなくてつまんないと言って、ひな人形を用意しました。
Kのまだ小さい頃です。
憶えてますが、木目込みの自分で作る、今で言えば「キット」ですかね、それの男びな、女びなを買ってきたんですよね。
かなり本格的なものだった記憶があって、母の人が作ってるのを横で見てました。
それで、Kの家には妹も姉もいないのに、毎年そのひな人形を飾っていて。
その時、必ず、3月3日を過ぎてもしばらく飾ったままにするんですよね。
「あんたたちが結婚しちゃったら寂しいから」
とか言って。
つか、そんな母の人の身勝手な理由で結婚できなくなったらイヤだなあと思ってましたけど。
……で。
Kと弟が成人して、社会人になって、実家も離れて、そうすると、しょっちゅう母の人が話題にするわけですよ。
「結婚しないのか」「まだ、しないのか」「早く結婚しなさい」……。
うん。ホント、Kの母の人って、身勝手だよね。
毎年、この時期になると、母の人の身勝手さを思い出す、そんな日がKにとっての桃の節句です。